第61章 天才少女の花は誰の手に落ちるのか

桜井結衣は、会場に渦巻く複雑な視線を一身に受けながら、壇上へ歩み出た。

映像の再生も、涙を誘う導入もない。

背後の大型スクリーンが点灯し、そこに映し出されたのは、びっしりと並ぶデータのグラフと、幾重にも枝分かれしたロジックフロー。

「これが『覚醒プロジェクト』の薬理・毒性評価の完全版レポート。それから、第3相に相当する前臨床の動物試験、全件の生データです」

物語はない。涙もない。あるのは数字だけ。

そして、その一つひとつの数値には対応する実験映像の管理番号が振られており、いつでも呼び出して検証できる――そういう作りだった。

会場の空気がざわつき始める。とりわけ結果だけを求める投資...

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