第67章 論理がいったん崩壊すれば、すべてが再構築される

笠嶋嵩弘は自分の「機転」に酔っていた。だが気づいていない。自分こそが、最初の罠のど真ん中に踏み込んでいることに。

――すべてのラベルが間違いだ。「リンゴ」と書かれた箱に、リンゴが入っているはずがない。

彼の思考は、完全に絡まっていた。

「い、いや……違う……」

すぐに自分で自分を否定し、苦悶の表情で両手で頭を抱える。

「ラベルが全部間違いなら……俺は、どうやって見分けるんだ……?」

言葉が崩れていく。

「リンゴ」「ミカン」「全部間違いだ」――そればかりを繰り返し、瞳は焦点を失った。さっきまで談笑していた老人は消え、たった一つの簡単な問いに追い詰められて崩れていく、哀れな患者がそ...

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