第72章 最後の狂気

控室のバックヤードは、いつの間にか歓声の渦になっていた。

橘博士は興奮で頬を真っ赤に染め、普段の落ち着いた学者然とした面影はどこへやら。チームの若手を捕まえては、さっき大スクリーンに映った「神がかった逆転劇」を何度も何度も巻き戻す。

「いやもう、心臓が喉まで飛び出るかと思った! まさか、あそこから返せるとはなぁ……!」

一方、結城南は嬉しさ全開のコアラみたいに、桜井結衣にしがみついたまま離れない。

「ねえ見た見た!? あの顔! 最高すぎ!」

早口でまくしたてながらスマホを取り出し、結衣にレンズを向けて連写する。

「だめ、今の『何でもないですけど?』って顔、撮らないと! これ何て言...

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