第82章 招かれざる客

書斎。

黒崎理人は、スマホ画面に表示された「家のことは外の人に頼まなくていい」という一文を見つめたまま、長い指で机を、無意識に――コツ、コツと叩いていた。

「外の人……?」

低く反芻する。

深い瞳の奥に、誰にも気づかれない鈍い光が走る。

横に控える秘書は、息をするのも怖いほどだった。

さっき入って報告しようとしただけなのに、社長はスマホを睨み、周囲の空気が凍りつくみたいに重い。

「社長……」

恐る恐る呼ぶと、黒崎理人は顔を上げた。

瞳にあった冷気は跡形もなく消え、いつもの静けさに戻っている。

「言え」

「ご依頼の件、手がかりが出ました」

秘書は暗号化されたファイルを差...

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