第95章 これでお互い様だ

廊下は瞬く間に空っぽになり、残ったのは黒崎亮二の重たい喘鳴だけだった。

「旦那様……」

執事が案じるように近づき、そっと身体を支える。

黒崎亮二は手を振って制し、壁に背を預けてようやく立ち直ると、あの扉を見つめた。声に、かすかな震えが滲む。

「桜井結衣……理人は、本当にもう大丈夫なのか……?」

扉の向こうから、桜井結衣の声がはっきり響く。

「ご安心を、おじいさま。私がいる限り、閻魔さまにだって連れていかせません」

黒崎亮二は小さくうなずき、執事に支えられながら、よろめく足取りでこの厄介事の渦から離れていった。

室内。

桜井結衣は余裕たっぷりに椅子を引き寄せ、ベッド脇に腰を下...

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