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藤井翼は人垣の後方に立っていた。冷え切った気配がじわりと広がり、周囲の学生たちはその圧に呑まれて、反射的に左右へ退く。まるで最初から用意されていたかのように、広い通路が一本、すっと空いた。

新谷結奈は藤井翼を見つけた瞬間、救いの手を見たみたいに息をのむ。

「翼さん……」

だが新谷浩市の指は、結奈の手首を掴んだまま緩まない。声だけを落として、耳元で脅す。

「今日は誰が来ようが、お前は助からない」

藤井翼が足早に前へ出た。氷みたいに硬い声が、空気を切る。

「新谷浩市。手を離せ」

新谷浩市は怯まない。真っ向から藤井翼を睨み返す。

「藤井社長。俺は妹を躾けてるだけだ。家のことに口を出...

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