50

新谷結奈は慌てて玄関へ駆け寄り、ドアを開けた。藤井翼がそのまま彼女を抱き締める。

「どうした? 今日は君の誕生日だろ」

――おかしい。

藤井翼が、自分の誕生日を知っているはずがない。

新谷結奈は背筋が冷たくなった。これは夢だ。夢の中だ。そう思った途端、息が詰まり、腕の中でもがく。なんとか目を覚まさなきゃ、と。

そのとき――ピロン、とやけに鮮明な通知音が耳元で鳴った。

新谷結奈ははっと現実へ引き戻され、反射的に部屋の灯りを点けた。

天井を見つめたまま、全身がじっとり汗で濡れている。何度も深呼吸を繰り返し、ようやく体の強張りがほどけていった。

枕元のスマホを手に取る。

藤井翼か...

ログインして続きを読む