55
武田悦子は少し緊張した面持ちで、「私……できますか?」と小さく尋ねた。
馬術は習っていたし、神楽にも乗ったことはある。けれど試合は大事だ。神楽と息を合わせるのも久しぶり――もし負けたらどうする?
新谷結奈は悦子の手をぎゅっと握った。
「先に行って。私は証拠を探してくる」
背後から、わざとらしくゆったりした足取りが近づく。
「お姉ちゃん、これってさすがに恥ずかしくない? いっそ棄権したら? あとで惨めになるよりマシだよね」
新谷芽衣だ。心配しているふうの笑み。けれど瞳の奥には、挑発が露骨に滲んでいた。
結奈は振り返り、静かな顔のまま冷えた視線を芽衣へ走らせる。
「私たちの賭け、...
ログインして続きを読む
チャプター
1. 1
2. 2
3. 3
4. 4
5. 5
6. 6
7. 7
8. 8
9. 9
10. 10
11. 11
12. 12
13. 13
14. 14
15. 15
16. 16
17. 17
18. 18
19. 19
20. 20
21. 21
22. 22
23. 23
24. 24
25. 25
26. 26
27. 27
28. 28
29. 29
30. 30
31. 31
32. 32
33. 33
34. 34
35. 35
36. 36
37. 37
38. 38
39. 39
40. 40
41. 41
42. 42
43. 43
44. 44
45. 45
46. 46
47. 47
48. 48
49. 49
50. 50
51. 51
52. 52
53. 53
54. 54
55. 55
56. 56
57. 57
58. 58
59. 59
60. 60
縮小
拡大
