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新谷結奈が一歩踏み出し、ドアの外へ出ようとした瞬間、高橋承吾が突然、彼女の腕を掴んだ。

焦りと媚びが混じった顔で、必死に言う。

「新谷さん、藤井社長……この件、まだ引き返せる余地があると思うんです」

新谷結奈は腕を引き抜き、一歩だけ後ろへ下がった。ちょうど、新谷芽衣に足を引っかけられずに済む距離。

振り返りざま、高橋承吾を一瞥する。

「余地があるかどうかは、あなたの誠意次第よ」

藤井翼の瞳に、かすかな驚きが走った。

新谷結奈はいつも、彼に「意外」をくれる。とくに揉め事の収め方と、老獪な連中を相手にしたときの立ち回り。言葉選びも、落としどころの作り方も――どこをどう見ても、ただの...

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