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新谷結奈は目を見開いたまま藤井翼を見つめた。

「なに、手を出したって? 新谷天羽が山口拓也に何かしたの?」

中村賢也は気まずそうに頬をかき、どう返していいか分からない顔になる。

噂話が、当の本人の耳に入ったときの――あの、逃げ場のない気まずさ。

結奈の目はまん丸だ。藤井翼を見ているのに、肝心の藤井翼は一言も発しない。

空気が変だ。けれど、さっき何を言っていたのかは聞き取れなかった。

沈黙を割ったのは、藤井翼のひんやりした声だった。

「乗れ」

結奈ははっとして車に乗り込み、ドアを閉める。

藤井翼の隣におとなしく座り、どこか青白い横顔を見上げた。

「翼さん、今日は少しは楽?」...

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