87

新谷芽衣は、もはやお嬢様としての体面など気にしていられなかった。焦ったように、さっと前へ出る。

さっきまで忘れていたのだ。新谷結奈が「この中にUSBメモリがある」と言っていたことを。しかもその中身は、新谷家の不都合なネタ。

芽衣は見下ろすように顎を上げ、新谷浩市に命じた。

「浩市兄さん。これ開けて、USBメモリ探して」

浩市は顔を上げ、逆に問い返す。

「……それ、結奈の物だって分かってるのか?」

芽衣は当然だと言わんばかりに胸を張った。

「知ってるよ。知ってて何が悪いの?」

浩市は声を落とし、きつく叱る。

「結奈の物なら、なんで結奈に拾わせない。お前が拾って渡せばいいだろ」...

ログインして続きを読む