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新谷結奈の言葉を聞いた瞬間、藤井翼は思わず腹に力を入れてしまった。

新谷結奈は伏し目がちに藤井翼の腹部へ視線を落とし、「藤井社長、いまお腹をピンッてさせたら、余計に薬が押せません」と小さく言う。

藤井翼は一瞬きょとんとしてから、ふっと息を吐き、肌の力を抜いた。新谷結奈はそれを確かめるようにして、ゆっくりと薬を押し切る。

全部で三本。打ち終えたころには、新谷結奈の額に汗がにじんでいた。

以前、祖父の診療所で実習をしたことがある。近所のおじさんやおばさんに注射を打ったときは、みんな肩の力が抜けていて、むしろ「大丈夫、大丈夫」と励ましてくれた。あんなふうに緊張した覚えはない。

なのに今日...

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