第7章 ひざまずく

この時間、バーにいる客はそれほど多くない。

朝霧和音は静かにステージに立ち、四肢を伸ばしていた。

もうあまりにも長い間踊っていなかったせいで、踊ることがどんな感覚だったかさえ忘れかけている。

ステージの照明は点いておらず、彼女は薄暗い隅に一人、静かに佇んでいた。

三年間もの地獄のような苦しみを経て、その体は見る影もなく痩せこけていたが、ステージに立ったその瞬間、彼女はやはり格別の魅力を放っていた。

バーにいる客たちの視線は、皆彼女に注がれている。

「どうですか、辰さん。期待を裏切らなかったでしょう?」

藤村静香は彼女のこの様子に少なからず驚き、男に手柄をアピールした。

スキンヘ...

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