第106章

「奥様、旦那様。こちらのお洋服、大変よくお似合いですよ。お包みいたしましょうか? 他にもお似合いのものがございまして……」

店員は商魂たくましく声をかけてくる。

岩田延一は笑みを絶やさずに応じた。

「ありがとう。もう少し試着してみたいんだ」

篠崎アエミは一瞬呆気にとられたが、声を潜めて言った。

「これでいいじゃないですか。買いましょうよ」

「服選びは誠意が大事なんだよ! これは登山用だけど、沖田先生はもう持ってるだろ! こっちを試そう……ランニングに良さそうだ!」

岩田延一は適当に数着手に取り、体に当てて見せた。

「これなんかいいな。二人で試着してみよう!」

篠崎アエミは少...

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