第112章

薄明。

気怠げな日差しが、部屋の中に差し込んでいる。

篠崎アエミが目を覚ますと、目の前に端整な顔があった。彼女は一瞬、瞳孔を収縮させ、びくりと身を強張らせる。

榎田神也は片手で頭を支えながら、その怯えた様子を眺めていた。口元に、思わずといった風に笑みが浮かぶ。

「俺を見てそんなに驚くか?」

「私……」

別に、それほどでも。

篠崎アエミの顔色がわずかに沈む。昨夜はよく眠れなかったせいで、瞼が少し腫れぼったい。

彼女は顔を背け、目を擦りながら浴室へと向かった。顔を洗う暇もなく、スマートフォンがブブブと振動音を立てる。

振り返って画面を見ると、林田涼子からだった。

「ちょっと、...

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