第118章

「何するのよ。驚いたじゃない」

「何だと? ここ数日、何にかまけてるんだ。家に帰りもせず」

家の中はがらんとして、人の気配など微塵もなかったというのに。

榎田神也は歯噛みした。

「家に帰らず、こんなところで他の男と飯か」

「馬鹿なこと言わないで。これは仕事よ」

「仕事? 世の中に男は死に絶えたのか? 何故わざわざあいつなんだ」

先ほど個室の前を通りかかった際、談笑していた数人の姿が脳裏をよぎる。

榎田神也が拳を握りしめ、さらに口を開こうとしたその時、ドアの外から岩田延一の声が響いた。

「どうした? 具合でも悪いのか? 送っていこうか」

温厚で誠実そうなその声には、深い気遣...

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