第128章

「これ以上、何を話すことがあるんですか」

 篠崎アエミは苛立ちを隠さず、眉間を指で押さえた。

「あなたのその『高嶺の花』について? それとも、あなたの叔母が私に薬を盛ったこと? あるいは、この数年間あなたが私に向けてきた冷酷さについてですか」

「説明させてくれ!」

「結構です。聞きたくありません」

 篠崎アエミは病室のベッドに横たわると、頭から布団を被って視界を遮断した。

 一枚の布団が、二人を隔てる壁となる。

 夜、同じ空間にありながら、心は遠く離れていた。

 夕食後、篠崎アエミはノートパソコンを開き、淡々と仕事を処理していた。

 そこへ、榎田神也がスープの入った椀を持っ...

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