第140章

新年を迎え、現場は華やいでいる。あちこちに鮮やかな赤い服を着たスタッフが見受けられ、おめでたい空気が漂っていた。

道すがら、篠崎アエミはちょっとした差し入れをいくつも貰い、気分は上々だ。

宮崎監督の撮影は続く。

今日もまた、目が回るような忙しさだった。

衣装部は現在、篠崎アエミ一人しかいないため、まさに猫の手も借りたい状況だ。丸一日、彼女は休む間もなく動き回り、水を飲む暇さえなかった。

俳優たちの休憩時間になり、ようやく座るチャンスが巡ってきた。そこへ岩田延一が近づき、保温ボトルを差し出す。

「あの『従兄』さんは帰ったのか?」

篠崎アエミは一瞬きょとんとしたが、すぐに声を潜めた...

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