第152章

「好きにすれば」

 篠崎アエミは両手を広げ、どうでもいいといった素振りを見せる。

 その瞬間、榎田神也が飛びかかり、彼女を押し倒した。雨霰のように降り注ぐ口づけ。

 ほんの数回の呼吸の間に、二人の息遣いは乱れ、衣類が床に散乱していく。

 二人がさらに深い情事へと進もうとしたその時、ドンドンドンと無粋なノックの音が響いた。

 榎田神也は苛立ちを隠さずに声を荒らげる。

「誰だ!」

「旦那様の携帯が繋がらないため、こちらにおかけしました。至急、戻ってください!」

 “至急”という言葉が、一文字ずつ強調される。

 榎田神也の欲情は瞬時に霧散した。彼は素早く服を着直す。

「家で待っ...

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