第153章

夜の帳が下り、闇はいっそう深さを増していく。

篠崎アエミは、窓の外を行き交う車の流れを、ただ退屈そうに眺めていた。

不意に、スマートフォンの着信音が鳴り響く。

画面には「岩田延一」の文字。

「もしもし、何かご用ですか?」

「またそうやってからかう! SNSを見たぞ。同じ街にいるんだろ? ちょっと出てこいよ、絵画展に連れて行ってやるから」

絵画展。

篠崎アエミは片眉を上げた。

「わたし、今はちょっと忙しくて……」

「逃がした魚は大きいぞ。友人が主催してるんだ! 有名な画家の作品も多いし、インスピレーションを得るには最高だ」

インスピレーション。

その言葉に、篠崎アエミは即...

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