第157章

事態はあまりに唐突だった。異変に気づいたもう一人の男が、慌てて加勢に入ってくる。

「このクズ! 離せ、離しやがれ……ッ」

 無数の拳が雨あられと降り注ぐ。

 篠崎アエミは全身の骨が砕け散るような激痛を感じていた。だが、決して離さない。顎が外れんばかりの力で、死に物狂いで食らいつき続けた。

 生暖かい鮮血が、衣服をじっとりと濡らしていく。

 狂気じみたその執念に、噛みつかれた男がついに動かなくなった。篠崎アエミは脱力し、その場に崩れ落ちる。激しい喘鳴が喉の奥から漏れた。

「てめぇ、よくもやりやがったな! このクズが!」

 一人を片付けたが、まだもう一人が残っている。

 相棒を無...

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