第158章

意識が浮上する。

鼻孔をくすぐるのは、濃厚な消毒液の匂いだった。

篠崎アエミがゆっくりと目を開けると、やつれ果てた顔の榎田神也が、勢いよく覆いかぶさってきた。

「やっと目が覚めたか、死ぬかと思ったぞ!」

「あな……」

篠崎アエミは喉が張り付き、咳き込んでしまって声が出ない。

彼女は手を伸ばして彼を突き飛ばそうとしたが、榎田神也はその手を強く握りしめた。

「怖がるな、もう怖くないぞ。お前はもう安全だ! それに、必ず正当な裁きを受けさせてやるからな。すでに部下に調査させている……」

男の喋り続ける声が、ひどく耳障りだった。

篠崎アエミは圧迫されている傷口を見つめた。痛みに脂汗が...

ログインして続きを読む