第160章

漆黒の闇に包まれた病室は、静寂に支配されていた。

どれだけ待っても、返事は返ってこない。

榎田神也は腕に力を込め、彼女をその胸にきつく抱きしめた。「俺は言ったことは必ずやる!」

「鈴木芽衣に、わたしが味わったのと同じ苦しみを? 本当に?」

答えは明らかに「否」だ。

榎田神也の沈黙こそが、何より雄弁な答えだった。

希望がなければ失望もない。篠崎アエミは自嘲気味に笑うと、静かに瞼を閉じた。

突然、榎田神也の低い声が響いた。「お前がくれた扇子、あの刺繍は実に見事だったぞ! あれはつまり、お前の心の中に俺がいるという証拠だ。俺はもうお前の心に住み着いている、永遠にな」

うわっ。

自...

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