第167章

アクセルをベタ踏みする。

篠崎アエミはハンドルを強く握りしめ、早鐘を打つ心臓を抑えきれずにいた。自宅まであと少しというところで、対向車線の車に見覚えのある人影が映ったのだ。

二台の車がすれ違う。

一瞬、胸がざわついた。慌ててバックミラーを確認したが、その車はすでに走り去り、影も形も見えなくなっていた。

あれは、入江宝夢だったのだろうか?

彼女が、どうしてこんな所に?

(まさか!)

嫌な予感が脳裏をよぎる。心臓は激しく警鐘を鳴らし、彼女は矢のように家路を急いだ。

十分後、自宅に到着した篠崎アエミは、車を停めると同時に異変を感じ取った。

いつもなら、彼女が帰宅すると篠崎おばあち...

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