第169章

「そうよ、そうよ! あなたの言う通りだわ!」

 先ほどまで怯えていた入江宝夢だったが、電話の向こうの鈴木芽衣に慰められると、たちまち安堵の笑みを浮かべた。

「じゃあ、用事があるから切るわね!」

 通話が切れる。

 彼女は部屋中に散乱したドレスを見渡し、口角を吊り上げた。

「今夜はパーティーがあるんですもの、誰よりも美しく着飾らなくちゃ!」

 衣装を選んでいる最中、階下から物音が聞こえてきた。

 ドアを開けて顔を覗かせると、榎田神也の声がする。慌てて閉めようとしたその時、老執事が駆け寄ってきた。

「大旦那様がお呼びです!」

「私……?」

 入江宝夢の胸に、じわりと恐怖が広が...

ログインして続きを読む