第170章

バー。

榎田神也はスマートフォンの画面に表示されたメッセージを睨みつけ、長いこと視線を外せずにいた。

隣に座っていた中村景が、彼の肩をポンと叩く。

「もういいだろ! そんなに落ち込むなよ。古いのが去れば新しいのが来るっていうじゃないか。また新しく探せばいいだけの話で……」

ガンッ!

言い終わらないうちに、中村の頭に衝撃が走った。

彼は大いに不満そうな声を上げる。

「何すんだよ! 俺は慰めてやってるってのに、なんで手が出るんだよ。お前のせいで頭が悪くなっちまう!」

「元から悪い頭だろうが」

榎田神也はワイングラスを手に取り、中身を一気に煽った。その口元には、獲物を狙う猛獣のよ...

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