第171章

ブブブッ。

スマートフォンの振動音が鳴り響く。

中村景はちらりと画面を覗き見ると、目を丸くし、慌ただしく手を動かしている榎田神也の方をそっと窺った。

「おい、何をそんなに忙しくしてるんだ! スマホ見ろって!」

榎田神也は視線すら向けずに答える。

「忙しいんだ。仕事を片付けて、嫁を追いかけなきゃならん」

「……空耳か? もう一回言ってみろ」

「嫁を追うと言ったんだ」

榎田神也は手を止めることなく、一言一句、真剣そのものの口調で言い放った。

中村景はおそるおそる彼に近づく。

「じゃあ、いいもん見せてやるよ。ほら……」

目の前に突きつけられたスマートフォン。

そこに映る数々...

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