第176章

「たまに」という言葉を、一文字ずつ区切って強調する。

その態度は明白だ。

榎田神也は「たまに」という言葉を聞き流し、語尾の単語だけを拾い上げた。

「当然だ。俺たちは友達になれるさ!」

友達。

恋人。

そして、愛する人。

少しずつ進めばいい。

彼は口元に笑みを浮かべた。

「行こうか。朝飯を食べてから、一緒に向かおう」

「……わかりました」

時は待ってくれない。

個展は午後からだが、時計の針はすでに十時を回っている。

二人が階下のレストランに着いた頃には、朝食ビュッフェは片付けられており、ランチを選ぶしかなかった。

個室にて。

榎田神也の甲斐甲斐しさは極まっていた。...

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