第201章

腹が立つ。本当に、腹が立つ。

篠崎アエミは、胸の奥に濡れた真綿を無理やり詰め込まれたような、吐き出すことも飲み込むこともできない不快な閉塞感を覚えていた。

気分は最悪だ。

彼女は早足で経理室へと向かう。

「前回の、あの四百四十四万円の振込明細を出して!」

「は、はい!」

一分後。

四百四十四万円と記された振込明細書を見つめる篠崎アエミの指先は、怒りで微かに震えていた。

相手は安和家の人間ではないにしろ、安和博人とは面識もあり、友人だと思っていたのに。

まさか。

安和家がこれほど陰湿な侮辱をしてくるとは。会社の口座を使って、あてつけのようにこの不吉な数字を送金してくるなど。...

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