第223章

一步三回頭。

あの端正な顔立ちは照明に照らされているにもかかわらず、まるで暗雲が垂れこめたみたいに翳っていて、全身から寂しさの気配がにじみ出ていた。

そして、その足が――

動きがあまりにも遅い。

スローモーションのボタンでも押されたみたいに。

すらりとした脚が持ち上がってから床に下りるまで、何秒もかかっている。

見ているこっちのほうがじれったくなるほどだ。

篠崎アエミはドアのところで腕を組み、じっとその背中を見つめていた。

数分後、榎田神也はようやく玄関までたどり着く。潤んだ子犬みたいな目でおばあちゃんを見上げた。

「俺、帰るな。また今度、遊びに来るから!」

「そうかい。...

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