第225章

会社の株主たちが榎田神也に不満を抱いているのは、今に始まったことではなかった。

とくに榎田神也が、たかが女ひとりのために東へ西へと飛び回り、会社を放り出して損失を出している──それが彼らのもっとも気に入らない点だった。

それは、ひとりひとりの株主の利益に、じかに響く問題でもある。

下の席で誰かが延々と文句を垂れている。

榎田神也は、低く舌打ちするように息を吐き、長い指先で机をこん、と一定のリズムもなく叩いた。

漆黒の瞳が、すっと彼らを見渡す。

その視線だけで、圧がかかる。

ついさっきまで市場さながらの騒々しさだった会議室が、ぴたりと静まり返った。

指先が机を叩く、乾いた音だけ...

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