第230章

 深い山の奥。

 天を突くような大木が地面から伸び上がり、空をすっかり覆い隠している。

 榎田神也は肩で息をしながら、そばの男が信じられないほどの食欲でチキンレッグにかぶりついているのを眺めた。がっつく姿すら妙に色気があって、目のやり場に困るほどだ。

 そのとき、胸ポケットのスマホがぶるっと震えた。

 榎田神也は目をきらりと光らせる。

「悪い、トイレ行ってくるわ!」

 返事を待つこともなく、猿のような身軽さで木々の間をすり抜けていく。人気がないのを確認すると、ようやくスマホを取り出した。

 画面を見た瞬間、表情ががらりと変わる。

 目の奥が、氷のように冷たくなった。

 篠崎...

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