第235章

篠崎アエミは、ふたりが去っていく背中を見送ったまま、その場に立ち尽くしていた。胸の鼓動が、どくどくとうるさいほど鳴り続ける。

ちょうどその頃、安和諭介がナイフを握りしめ、榎田神也に追いつこうとした瞬間だった。榎田神也が、ふいに振り返る。そのまま勢いよく蹴りを叩き込む。

ドンッ、ドンッ、ドンッ――

神也の動きは疾風のようだった。一撃で相手の体勢を崩すと、そのまま馬乗りになり、拳を雨あられと振り下ろす。

「ああああああっ……!」

断末魔の叫びが、途切れ途切れに響き渡る。

やむ気配はない。

まるで本当に目の前の男を殺すつもりなんじゃないかと思うほど、一発一発に、容赦というものがなかっ...

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