第237章

微かな光の差し込む車内。

彫刻みたいに整った横顔には、どうしようもない寂しさが滲んでいた。

車の中を、妙な静けさが支配する。

どれくらい沈黙が続いただろうか。

榎田神也が掠れた声を漏らした。

「悪かった……叔母さんのことは俺が何とかする。もう二度と、お前に迷惑はかけさせない」

「謝らないでください。わたし、ただ静かに生きていたいだけです」

篠崎アエミは、またグラスに赤ワインを注いだ。

ワインを一口含むと、その白い頬に、ぽっと紅がさす。

榎田神也は、隣でそれを黙って見ていた。止めようとはしない。

ふたりはそのまま、ただ静かにグラスを重ね続けた。

酒を飲めば、本音も零れる。...

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