第238章

 委屈そうな顔。

 責めるような口調。

 まるで自分がクズ男にでもなったみたいな空気だ。

 篠崎アエミが小首をかしげ、ぱちぱちと瞬きをする。状況を飲み込む間もなく、真っ赤な唇が、もう一度乱暴に噛みつかれた。

 男のキスは容赦がない。口の中の酸素を、すべて奪い去ろうとするみたいに。

 強烈な快感に意識が揺さぶられ、思考も呼吸も、ぜんぶどこかへ飛んでいく。

 一秒たりとも、逃がしてはくれない。

 ――そんな夜が、ひと晩中続いた。

 篠崎アエミの身体は、すっかり力が抜けていた。ぐにゃりとした泥人形みたいに、抵抗する気力なんて残っていない。ただされるがまま、彼の狂おしいほどのキスを受...

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