第248章

一方で老執事は冷や汗をだらだら流していた。

「若旦那のほうからもう連絡がありました。この件は自分で何とかすると……」

「ほう?」お爺様が片眉を上げる。

老執事の肩がびくりと震えた。

「若旦那のお考えは――」

「もういい、分かっておる」お爺様はきっぱりと言葉を遮る。「だがな、やらねばならんことというものは、別にある」

娘が誘拐されたというのに、父親が何も動かない。

そうなれば、かえって周囲から疑いの目を向けられる。

篠崎おばあちゃんの顔が脳裏に浮かび、胸の奥がちくりと痛んだ。

「全部あの馬鹿息子のせいだ。おかげで、あの古い女友達に会うたびに、どこか気まずくていかん。行くぞ。久...

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