第259章

「どこ行くのよ。あたしの友達なんだから。それにね、あんたも少しは空気読みなさいよ。この人はあたしの命の恩人でもあるし、お爺様の恩人でもあるの。明日の夜、専門医を連れて来てくれなかったら、お爺様なんて今ごろもうもたなかったわよ」

榎田神也は眉間にしわを寄せ、それ以上何も言わずに視線を手術室の扉へと落とした。

入江宝夢は、天野千尋の腕にしなだれかかりながら、うっとりとしたように言う。

「あんたがうちの大恩人なのよ。前はあたしの命を助けてくれて、今度はお爺様のために専門医まで呼んでくれて。これからあんたは榎田家の座上賓ね」

「人って比べるもんじゃないけど、世の中には本当に恩知らずっているの...

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