第263章

再び意識が浮上した。

部屋の中は、しんとした暗闇に包まれている。

篠崎アエミはゆっくりとまぶたを持ち上げ、かすかに身じろぎした瞬間、全身に走った痛みに息を呑んだ。

歯を食いしばって身体を起こし、ふらつく足取りでバスルームへ向かう。鏡の前に立ち、そこに映る赤い痕だらけの自分の姿を見た途端、顔から血の気が引いた。

ふたりで過ごしてきた年月は、決して短くない。

どれだけ榎田神也が酔っていても、アエミの身体を気遣うことだけは忘れなかった。快楽のためにわざと苦しめたりなんて、したことがない。

なのに、昨夜は――

彼女は視線を落とし、赤く腫れたそこを見て、さらに顔をしかめる。

頭に浮かん...

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