第264章

かつての出来事が、ふっと脳裏をかすめる。

篠崎アエミは口元に柔らかな笑みを浮かべ、細い眉を弓なりにしてマイクを受け取った。

「こうして昔の同級生であり、友達でいてくれることが、本当にうれしいです」

岩田延一はまぶたを伏せ、一瞬だけ淡い哀しみを宿したが、すぐにいつもの表情へと戻す。

「みんな、もう詮索するのはやめよう。今の俺たちは友達だ。これから先のことは……まあ、そのとき次第ってことで」

最後のひと言は、やけに艶っぽく響いた。

客席から、またもやどっと冷やかしの声が上がる。

彼はそっと身を乗り出し、篠崎アエミの耳元に唇を近づけた。

「しょうがないだろ。ドラマの宣伝のために、少...

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