第268章

车内に満ちていた淫靡な空気を、小さな子どもの声がぷつりと断ち切った。

篠崎アエミの全身がびくりと強張り、穴があれば入りたいとは、まさにこのことだった。

おそるおそる顔を上げると、榎田神也の表情はいつもと変わらず、腰だけが淡々とアエミの内側を抉っている。

アエミは胸元に手を当て、必死に首を振った。

「や、やめて」

汗でぐっしょりになった神也のシャツは、すでに原形を留めていない。彼はようやく動きを止めたが、熱を持ったそれだけは、まだしっかりと奥に居座っている。

「都合よく手のひら返し、ってやつだな。薬が抜けたから、もう出てけって?」

艶のある笑みを浮かべる神也に、アエミは唇を噛んで...

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