第270章

病危――

誰が、病危だって?

まさか、お爺様……?

榎田神也の口から漏れた言葉に、全身がびくりと震え、その背中を追うように廊下へ飛び出した。

病室の中、篠崎アエミは、なにか胸騒ぎのようなものを感じて、ふと入口の方へと顔を向けた。

誰もいない。

気のせいか――

首をかしげたそのとき、テーブルの上のスマホがけたたましく震え出す。

「アエミ、早く戻ってきて、出事了……」

轟――

受話口から聞こえた声に、耳元で雷が炸裂したような衝撃が走る。頭の中が一瞬で真っ白になった。

おばあちゃんが、病危。

入江宝夢、よくもやってくれた。とうとう家にまで手を出してきたなんて。

なんて奴…...

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