第271章

空っぽの廊下に、甲高い声が突き刺さった。

篠崎アエミはびくりと肩を震わせ、氷みたいに冷えた視線を向ける。

「いいわ。できるなら、やってみなさい」

睨み合う二人の間で、火花が散った。

中村景が首をすくめる。

「修羅場だな……」

榎田神也はちらりと彼を見ただけで、すぐ前へ出た。前に立つボディガードを乱暴に押しのけ、入江宝夢の服を掴む。

「誰が掴んでんのよ?」

入江宝夢は怒りで顔を歪めて振り返り、次の瞬間、火がついたみたいに声を荒げた。

「見なさいよ、ほら! この顔! 全部あいつに殴られたんだから!」

榎田神也の眉間に皺が寄る。冷え切った表情、強張る頬。

その視線が篠崎アエミ...

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