第272章

岩田延一は断ろうとした言葉を喉元まで出しかけた。だが、篠崎アエミの揺るぎない眼差しに当てられ、そっと頷く。

「わかった。全部、お前の言うとおりにする」

二人で家へ戻ると、篠崎アエミの強い希望で、岩田延一はおばあちゃんの部屋で少し横になることになり、篠崎アエミは台所でせわしなく手を動かし始めた。

空が白みはじめるころ。

湯気の立つ魚のスープは、もう出来上がっていた。

器に移すとき、篠崎アエミはわざわざ保温容器を三つに分ける。

再び病院へ。

篠崎アエミは岩田延一の入院手続きまで済ませた。

病室はおばあちゃんの隣。世話をするには都合がいい。

まず岩田延一のほうを落ち着かせ、それか...

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