第282章

静まり返った病室。

入江宝夢の傍若無人な声だけが、ひっきりなしに響いていた。

怒りで目を吊り上げ、胸を大きく上下させている。今にも憤死しそうな勢いだ。

だが、怒っているのは彼女だけじゃない。篠崎アエミも同じだった。

おばあちゃんは、この世界でたった一人の肉親。

触れられたくない、逆鱗そのもの。

誰にも指一本、触れさせない。

美しい瞳に薄氷のような冷たさが宿る。刺すような視線で、言い放った。

「もう一回言ってみて。わたしのおばあちゃんに手を出す気なら……絶対に許さない」

「お前……」

「いい。今はみんな頭に血が上ってる。とりあえずこいつは俺が連れて出る」

榎田神也が入江宝...

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