第286章

玄関先。

榎田神也は二人の去っていく背中を見つめ、顔色を沈ませた。

天野千尋が笑みを浮かべて言う。

「お似合いですね、あの二人」

榎田神也は鼻で笑った。

視界の端に安和博人が車で乗りつけるのが見え、淡々と言う。

「おまえの兄が来た。いっしょに入るぞ」

安和博人が車を降り、三人は連れ立ってホテルへ入った。

――が、歩き出してすぐ。

榎田神也の長い脚は容赦なく速度を上げ、天野千尋は小走りで横に並ぶ。安和博人だけが、みるみる後ろに置き去りにされた。

二人が肩を並べて歩く姿を見ているだけで、胸の奥がざわつく。

天野千尋は何度も何度も、「入江宝夢と仲良くなって、そのつてで篠崎アエ...

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