第295章

口にしてみたところで、自分でも信じられない。

片やJ市で暮らし、片や田舎暮らし。

そんな二人のお婆さんに、そもそも接点なんてあるはずがなかった。

榎田神也は酒杯をどん、と卓に置いた。「俺が直接、行って確かめる」

個室の中。

二人の年寄りは、会った瞬間から意気投合して、話が尽きない。

同じ時代をくぐり抜けてきた者同士。共通の思い出がいくらでもあるのだ。

岩田延一も今日になって初めて知った。自分の祖母が幼い頃は田舎で育ち、勉強して受験を経て、町へ出てきたのだと。

かつての苦労話を思えば、頷き合うことばかりだった。

篠崎アエミは、祖母にようやく気の合う友人ができたのが嬉しくてたま...

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