第296章

個室の中。

岩田延一が戻ってきて、二人のおばあさんが握り合う手を見て、思わず目を瞬かせた。

その直後、耳に飛び込んできたのは、やけに熱のこもった呼び方だった。

「お姉ちゃん」だの「妹」だの。

まるで世界でいちばん近しい身内みたいに。

二人とも若い頃は酒豪だったらしいが、さすがに今は年齢もあって量は減った。それでも岩田のおばあ様は、わざわざ薬酒を持ってきていた。

岩田延一と篠崎アエミは並んで見守りながら、内心ひやひやしていた。楽しそうなのは何よりだが、飲みすぎれば身体に障る。

数杯あおったところで、二人の老人はすっかり意気投合していた。

岩田大奥様が、篠崎アエミの手をぎゅっと握...

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