第298章

宅配便に添えられていた資料によれば、天野千尋は幼いころ一組の夫婦に養子として引き取られ、その後、偶然のきっかけで安和家に見つけ出され、連れ戻されたらしい。

安和家は千尋を引き取ったあと、養父母にまとまった金を渡した。

ただ、養父母は相変わらず小さな山村に住み続け、村を出ることはなかったという。

篠崎アエミは地図を取り出し、場所を当たった。するとその山村は、目を疑うほどの僻地にあった。周囲は百里続く深山。出入りには、いまだに原始的な道具が使われている。

トラクターすらない。

アエミは眉をひそめる。

「安和家の人間が、どうしてそんなところに……?」

しかも、だ。

安和家は慈善で知...

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