第308章

「戻ってこい。ママの邪魔をするな」

怒鳴り声が響いた。

屈強で、どこか気の弱そうな男が駆け寄ってきて、少年を抱きかかえるなり、足をもつれさせながら逃げ出そうとする。

だが周囲は記者だらけだ。抜け道なんてない。

男は汗だくになって叫んだ。

「どけって! 家の用事があるんだ、もう行くぞ!」

「やだ! 行かない! ぼく、ママ見つけたもん! ママと一緒に帰る!」

少年は必死に暴れ、篠崎アエミのほうへ手を伸ばす。

あまりにも痛々しい。

男は頑として譲らない。

「黙れ。おまえのママはいま仕事が大事なんだ。俺たちが迷惑かけるわけにはいかない。言うことを聞け」

「やだ、聞かない! ママ...

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