第316章

朝。

陽の光がだるそうに差し込んでくる。

篠崎アエミはゆっくりと目を開け、見慣れた顔を認めた瞬間、夢を見ているのだと思った。口元に、甘い笑みが浮かぶ。

「夢、見てたんだ……」

やわらかな声で、ひとりごちる。

その次の瞬間。

乾いてざらついた手のひらが、そっと頭のてっぺんに触れた。

胸の奥が、かっと熱くなる。

篠崎アエミはぱちぱちと瞬きをして、涙をこぼした。

「おばあちゃん、ごめんなさい。心配かけちゃった」

「この子ったら、ばかだねえ」

おばあちゃんの濁った瞳にも涙がたまっていて、顔中が痛いほどの心配に歪んでいる。

「守ってやれなかったのは、おばあちゃんのほうだよ」

...

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